外部刺激応答性光機能を兼ね備えた「熱活性化遅延蛍光(TADF)材料」の開発

武田 洋平
(大阪大学 大学院工学研究科 准教授)

2016年6月18日土曜日

ワークショップにて講演しました。

今週は、先日紹介させていただいた熱活性化遅延蛍光(TADF)材料開発に関する国際共同研究先である英国ダラム大学を訪問しております。我々のグループは、新規有機合成反応の開発を基軸とした新規遅延蛍光分子の創成・基礎物性調査を担当しており、当英国の光物理チームでは、我々の開発した分子の動的光物理過程の解析や有機ELデバイスの作製・物性評価を担当しています。オリジナルな反応でオリジナルな機能分子を作り、そしてそれらの光物理過程をナノ秒スケールで追いかける、という感じです。とても一つのチームではできないことですので、国際共同研究の意義は、それぞれが得意とする分野を持ち合わせて、”より良いものを作り・より深く理解する”という点にあるかと思います。
今回は、研究打ち合わせに加えて、当該チームがワークショップを主催するということで、参加・研究成果発表させていただきました(写真は、会場のダラム大学物理科の前にて撮影)。



 今回がキックオフとなるワークショップは、その名も"Maximizing the RISC”(https://risc-tadf.net/about/" RISCとはreverse intersystem crossing(逆項間交差、項間交差については、以下参照:http://www.chem.eng.osakau.ac.jp/~komaken/pablication/img/img50.pdf)の略で、”RISK(リスク)”とかけているそうです。RISCを最大効率化すれば、遅延蛍光の効率の向上が見込めるわけですが、”そもそもリスク(RISK)に手を出さなければ、そういった成功はあり得ない”という意味を込めて、この名をつけたそうです。本ワークショップの特徴としては、異分野融合があげられます。実際、講演者、参加者の専門をみてみると、化学、物理を専門とする研究者の割合はおよそ半々といった割合です。互いに専門分野の枠を超えて理解しあおうとする本ワークショップのスタイルは、自分自身にとっても大変勉強になるとともに、今後の国際共同研究の発展にも繋がる点で、非常に意義深いと思いました。お互いにとって損になることは全くないですからね。

ダラムは今回で2回目の訪問ですが、スコットランドに近い北部の歴史ある街です(ダラムについては、以下参照:https://ja.wikipedia.org/wiki/ダラム)。落ち着いていて、個人的には好きな街です。写真は、約900年の歴史があり、世界遺産にも指定されているダラム城の一部ですが、今はダラム大学の学生寮になっているそうです。夏の休暇期間中には、ホテルとして一般客にも公開されているそうですよ。こんなところで学生生活できるなんて、まるでハリーポッターの世界ですね。







4 件のコメント:

  1. ダラムという街の名は初めて聞きました。エジンバラに仕事で行った事がありますが、古色蒼前を絵に書いたような街並みが残っていました。タイムスリップしたような感覚に襲われたことを覚えています。
    ダラムもそんな感じがする街なんでしょうね。
    そういうところの空気を胸いっぱい吸い込むというのも、旅行の醍醐味だと思います。
    お金は、飲食や遊興に使うのも良いけど、体験に使う方が価値があると思います。知識を超えた価値が
    魂に刻まれるような気がします。

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    1. 中原様

      えぇ、エジンバラほど大きい街ではありませんが、ここに来ると時が止まったような感覚を覚えます。900年もの長きに渡って、司教が街を統治していた珍しい街だそうです。ホテルから大学に向かう際はいつもダラム城の横を通りますが、その都度歴史の重みを感じ取ることができ、よい経験をさせていただいています。個人的にはロンドンからダラムへ向かう電車の中から見える牧歌的な景色が大好きです。ぜひ、機会ございましたら、滞在されてみてはいかがでしょうか?

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    2. そうですね。パスポートコントロールがややこしくなる可能性が、先日の国民投票で出てきましたからね。ダラム城は、この度の騒動をどう見守っているのでしょうね。。今回の離脱決定は、かなり感情的な判断の結果と思いますが、国民の70%以上が投票した結果ですから、尊重しなければならないと思います。長い目で見れば、その方が良かったのかも知れません。欧州の一部ではありますが、英国人の心は、総判断しなかったんですね。これも歴史であり文化です。

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    3. 中原様

      現在議論にもなっていますが、科学会における問題は、イギリスがEUからもらってる研究費(例えば、horizon2020など)があります。EU内だからこそ、学生や研究者が自由に行き来し、共同研究が盛り上がっていることを私自身は実感したものですから、今回のイギリスの決断は科学の発展という観点からは残念で仕方ありません。ただし、当面はEUの研究費が打ち切りになるわけではないようですので、すぐに影響が出るわけではないようです。イギリス国民がもう一度冷静になって、様々な観点から議論しなおす必要があるかもしれませんね。

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